2022年度 スローガン

2022年度 基本方針

  1. 青年会議所という存在
  2. これからの時代を気づく青年会議所
  3. 地域を経済で支える人財
  4. 共創する地域
  5. 第70回気仙沼みなとまつり
  6. JC運動の本質を物語る会員拡大
  7. 自己実現・自己表現を行う職業体験

2022年度 理事長所信

【はじめに】

 私たちが運動を展開する気仙沼市・南三陸町は豊かな水産資源を有し、同時に南三陸町のFSC認証の取得に代表されるように、山の恵みを享受できる、世界に誇れる豊かな自然とそこから生まれる文化があります。また、気仙沼市は「世界とつながる豊かなローカル」、南三陸町は「森 里 海 ひと いのちめぐるまち 南三陸」を総合計画内で謳い、そこで暮らす人々は故郷を愛し、それぞれが地域の現状と向き合いながらまちの将来に向けて挑戦しています。一方で、東日本大震災の発災から10年が過ぎ、政府の復興期間が終了してハード面での整備は概ね完了の目処がたった私たちの故郷ではありますが、かねてから懸念されていた人口減少や少子高齢化の加速、産業や暮らしの発展など、多くの課題が未だに残っています。さらに、新型コロナウイルスのまん延により生活が一変し、多くの不安を抱きながら、解決を見ない課題や新しい生活様式による変化と向き合うことになりました。

 このような先行きが不透明で不確実な状況の中、私たちは、この誇れる地域の未来をどのように描いているでしょうか。私は、子どもの笑顔が溢れ、地域が子どもを育む未来が見たいです。どのような人でも健康的で心を豊かに過ごすことができる未来が見たいです。国籍や人種、出生地などに関わらず、人と人とが関わり合いながら様々なモノやコトを生み出す未来が見たいです。地域住民が、活き活きと誇らしく故郷を語っている未来が見たいです。そして、いつまでも持続的に発展し続けるまちの未来が見たいです。

 私たちJAYCEEには「明るい豊かな社会を築く」という綱領に掲げられた共有する想いのもと、それぞれが熱意をもっていると信じています。何かを起こそう・変えようとする原動力は一人ひとりの感情と感性、行動力です。それをビジョンにして掲げ、戦略や計画をたてて仕組みを構築し、行動することで、私が、そしてあなたが見たい未来を実現していきましょう。

【青年会議所という存在】

 「JCしかない時代」から、先達の弛まぬ努力と献身によって、豊かな社会になったがゆえに課題が複雑化・多様化し、「JCもある時代」へと変化しているとは、よく耳にする言葉です。JCは選択肢の一つであり、JC以外の多くの団体は、ある特定の課題を解決しようとしたとき、有効な選択肢となり得るものだと思います。

 では私たちはそのような時代の中、どのように存在すれば良いのでしょうか。その「JCもある時代」の中で、私たちにしかない価値をさらに高めていかなければなりません。つまり、現代社会に多くある課題は、教育・福祉・経済・環境・政治等、それ単体で存在するのではなく、複合して在る課題として捉え、私たちJCは様々な業種の青年経済人の集まりである特性を生かして行動することが必要です。NPO法人や一般社団法人、行政や企業等と信頼関係を構築し、連携して課題解決に取り組むことで効果的かつ効率的に運動発信や活動に繋げるよう、あらためて私たちのもつ価値や地域の期待を考え、同時に新しい価値の創造を行っていくことで、新しい価値観や新しい機会の創造という社会を向上させることや、長い年月を経て培われてきた社会の維持ができると考えます。そのためには、一人ひとりの個性を尊重して意図的に変化を起こし、相互の尊敬によって思考の先鋭化や化学反応を楽しみ、構想を練ることが肝要です。既存の常識や手法にとらわれず、ワクワク感を大切にした「真面目」に「面白い」運動を構想し、活動・発信して「JCもある時代」の中で私たちにこそできる、メンバーの多様性を活かし、外部のパートナーと手を携えて、青年経済人らしいワクワク感を大切にした発想で、価値の高まりを意識しながら取り組み豊かな地域や豊かな個人の心を育みます。

【これからの時代を築く青年会議所】

 全国各地に691もの青年会議所があり、仲間として志を共にして日々運動と活動に努めています。横のつながりは強固なものがあり、強い連帯感のもと組織のスケールメリットを活かして運動を展開することができますが、一方で単年度制という制度ゆえに継続性という点で縦のつながりを生かし切れているとはいえないジレンマを抱えています。当然のことながら、理念や目的は各年度であっても共通していますが、中・長期的な視点をもって、地域特性を踏まえた事業を展開することが、これからの運動展開には必要な視点であることは間違いありません。

 気仙沼青年会議所は創立50周年に際して、LOMの10年ビジョンを策定しました。その10年ビジョンを形骸化させず、今一度その当時のビジョンをあらためて、SDGsや地域の総合計画を踏まえて磨き上げ、具体性・戦略性をもたせて運用することが必要だと考えます。コロナウイルスのまん延や様々な情報が行き交う、先行きが見えない今こそ、地域の発展とそこに住む人々の幸せを願い、持続発展可能な地域の創造という未来を見据えて、運動を展開して参りましょう。

【地域を経済で支える人財】

 私たちの活動圏域の重点課題として人口減少が挙げられます。気仙沼市においては国立社会保障・人口問題研究所が2015年に算出した推計人口で、2040年には人口が4割減少し、2060年には7割減少するとされ、この人口減少がもたらす影響として、産業・雇用から教育・子育て等様々な点での弊害が指摘されています。私たちはこの地域に住み、そして骨を埋めて行くことから、働く場所の減少や低所得による若年層の人材流出、出生数の減少等、この人口減少についてはまちの賑わいやまちの持続性という観点で特に注意しなければならないと考えます。私たちJAYCEEは様々な立場を有し、若き青年経済人、そして地域人として、「自己の修練」と「社会への奉仕」、「世界との友情」を信条に運動を展開しています。昨今、社会が良くなるというベクトルは経済が良くなることとイコールの関係で語られることもあり、私は人口減少という課題に対して青年経済人であり、地域人である私たちが、JAYCEEという立場で取り組むことは、産業の振興と雇用の創出ができる人財の育成だと考えます。その上でさらに、ワークライフバランスからワークアズライフへと、働き方に対する考え方が変化する兆しが見える中で、仕事を自己実現の手段として、自らが本当に行いたいことはどのようなことなのかを考え実行する人財が、このまちの課題を解決し、地域を明るく照らす人財になると信じています。

【共創する地域】

 私たちが活動する圏域ではSDGsを積極的に推進し、持続発展可能な社会の在り方を目指しています。先に述べたように、今顕在化している多くの課題は、それ単独で存在しているのではなく、様々な要素や分野が複合しています。そのため、単独での課題解決には行き詰まることも多く、また、根本的な解決に至らないことも容易に想像ができます。

 私は持続的にこの地域の課題を解決して行くためには、個人の自己実現とパートナーシップによる連携で取り組んで行くことが必要だと考えます。そして、そこで重要なことが自己実現を支援する土壌を育むことではないでしょうか。志を立てた人が、個人の想いを実現する土壌も仕組みもないのであれば、その地域の未来は停滞し、光が失われてしまうでしょう。多様な職種のメンバーがいる私たちJCが、セクター間の垣根を越え、多くの地域の未来を描く仲間と、より良い地域の創造のために連携・協働し、地域に対してメッセージを発信していくことが必要です。震災から10年が経ち、まちづくりも新しい計画の策定や方向性の示唆がされ始めています。新しい地域の創造を、青年経済人である私たちが未来を生きる世代へ環境を整えて責任を果たし、自己実現が可能なまちを、また、持続的に課題解決がされるまちを創造してまいりましょう。

【第70回気仙沼みなとまつり】

 コロナウイルスのまん延から、2020年度及び2021年度の気仙沼みなとまつりは形を変えての開催や中止になり、それぞれの年度で、そのときにできる最善の方法を模索し、実施することで市民に笑顔と感動を与え、忘れられない「おまつり」になりました。あらためて、おまつりは笑顔と感動を与えることができるものだと実感するとともに、おまつりを通して、何を市民や参加者に伝えたいかが肝要なのだと分かりました。おまつりの実施は何を伝えたいかの手法であり、目的や大義、実施に至るまでの関わりがそのおまつりのもつ価値そのものではないでしょうか。

 しかしその上で、私の子どもの頃の記憶に強く残るおまつりは一言で言うならば「非日常」です。暗闇に浮かぶ灯篭や提灯の光。鳴り響く笛と太鼓のハーモニー。見たこともないような食べ物。変身した気分になれる浴衣。どれも普段の生活では考えられないものでした。そういった魅力的な時を過ごせるおまつりは驚きと感動、そして好奇心を刺激し、思わず笑顔にさせてくれます。目を閉じてもその光景が思い出せるおまつりは、故郷を感じさせてくれ、必ず心の拠り所となってくれるでしょう。形を変えて開催してきた過去2年間の気仙沼みなとまつりが地域の子どもや大人を巻き込み、未来を照らす光になったように、第70回を迎える2022年度の気仙沼みなとまつりも、笑顔と故郷への想いを募らせる、未来を照らす後世に残るおまつりになるよう、関係各所と協力し創造して参ります。

【JC運動の本質を物語る会員拡大】

 組織の持続的な発展において、賛同者を増やし、多くの志を共にする仲間を迎え入れることは特に重要であり、JC運動の根幹といえます。そして、JCImissionの通り、「より良い変化を青年に与えるために、成長・発展の機会を提供すること」が青年会議所の使命であり、私はこの会員拡大こそがその最たる運動だと考えます。地域や自分に志を立てた会員が増えるほどに切磋琢磨する中で様々な学びや気付きが得られ、そのことが明るい豊かな社会の実現に近づきます。そのためには一人ひとりが自分なりの青年会議所を言葉にして伝え、会員候補者の意識と行動に変化をもたらすことが求められます。自らの体験や実績、仲間のことやまちへの想いを雄弁に語らず、賛同や共感を得ずしてその意識や行動に変化が伴うことはありません。そこで、身近な一人から変革を促し、会員拡大運動からJC運動の本質を伝えて後世に続く気仙沼青年会議所にしていくために、今年度も34%会員拡大の達成を目標に掲げます。単に数字的な目標だけでなく、先に述べた運動の本質と併せて、私たちの展開する運動が持続され、未来を創造するために達成しなければいけない使命の指標です。全会員が一丸となって、JCの本質的な運動である会員拡大にまい進してまいりましょう。

【自己実現・自己表現を行う職業体験】

 気仙沼青年会議所は青少年育成事業として、小学生に向けて職業体験を行う「JC寺子屋~キッズワークタウン~」を毎年開催しており、2013年の第1回開催から数え、2022年で第10回目を迎えます。子ども達を取り巻く環境は、日々劇的に変化しています。GIGAスクール構想によるICT化やIOTの活用、AIの発達やDXの利用等が挙げられ、小さい子であれば幼稚園に通うような年齢でもその流れにさらされています。そのような技術の進歩が進む中で、働くことに関しても多くの変化が想定されています。そういった時代の流れの中、子ども達には一層豊かでたくましく生きて行くことが望まれ、私自身も子ども達の健やかな成長を願っています。では願うだけではなく、私たちはキッズワークタウンを通して何を子ども達に伝えることができるでしょうか。私は、自らが考えて行動することが大切なことになってくると考えています。仕事の技術や取り組み方だけでなく、職業選択や仕事そのものが自己実現の手段になってきており、自らの想いが何より尊重される風潮になりつつあります。そういった中で、子どもたち自身の「やってみたい」気持ちを尊重し、実現させることは子ども達の考える力や責任感を育む経験になると感じます。そして私たちはその機会を提供することが必要です。自ら考えて行動したことで責任感が育まれ、また、成功体験を重ねることができます。大人をのぞき見するキッズワークタウンで大人と同じ感覚を味わい、仕事をすることへの意欲や期待感を育むことは意義深く、これからの時代を生きていく上で貴重な体験になるものと期待しています。

【結びに】

 私たちは誰しもが心の内に秘めた思いをもっています。心の中にあるその思いを、その声を聴いたことがあるでしょうか。それを聴くためには、自分自身で何度も何度も問答を繰り返し行い、時には自己を否定し、時には自己を肯定し、磨き、そして研ぎ澄ませて行かなくてはなりません。

自分は何者で、何をしたいのか。

       青年会議所にはその声を聴くための種が多く蒔かれています。

自分が思い描くまちづくりや、人財育成はどのようなものなのか。

       青年会議所にはその想いに触れるための種が多く蒔かれています。

自分が未来に向けて信じていく自分自身の姿はどのようなものなのか。

       青年会議所には自分の未来を視るための種が多く蒔かれています。

様々な活動をする中で、苦しさや悔しさ、辛さを味わうでしょう。

様々な活動をする中で、楽しさや嬉しさ、喜びを味わうでしょう。

どんなときも自分を導くのは自分自身です。

どんなときも笑顔を忘れず、自分の内なる声と気持ちを大切に、共に地域の未来を創造していきましょう。