2026年度 スローガン
「 The First Step ~地域と共に歩む、未来への第一歩~ 」
2026年度 基本方針
- 地域における観光と労働環境の社会課題
- 想いを共感できる会員拡大
- 子どもたちの未来を切り開く指導力開発
- 未来へ繋がるおまつりを、地域と共に
- 主管ブロック大会及び60周年事業への展望
- 組織が伝わる広報と組織づくり
2026年度 理事長所信
2026年度 第58代理事長 菊地 祥太
【はじめに】
私が大学に在学していた2011年3月、東日本大震災が発災しました。今までの生活が一変する中で、同年9月に気仙沼へ戻り、父親が経営する会社へ入社しました。不慣れな環境の中で自分の力の小ささや地域との繋がりの大切さを痛感する日々でした。そのような時、当青年会議所の先輩から声をかけていただいたことをきっかけに入会を決意しました。最初は時間や活動量の面でJC活動へ参加できるのか不安もありましたが、地域の仲間との繋がりを求め、一歩を踏み出しました。入会後、多くの先輩方や同世代の仲間に恵まれ、青年会議所で得られる機会を自ら掴み取り、様々な挑戦を重ねてきました。その中で得た経験は社業や家庭、そして現在の私自身を形成する大切な礎となりました。行動する勇気を持つことや未知との出会いなど些細に思える「ほんの小さな一歩」の挑戦が、やがて人生の「大きな一歩」へと変わり、人生を豊かにしてくれました。青年会議所は「修練・奉仕・友情」の精神のもと、様々な機会に挑戦することで仲間と共に成長し、地域社会に貢献できる素晴らしい循環の場です。一人では成し得ない挑戦を仲間と共に行うことで成長や絆という価値が生まれ、その成果が地域へと広がっていく循環が続いてこそ、青年会議所の存在価値が地域にさらに認められ、我々の想いに共感する青年が集う場所となります。我々はこれからも挑戦の第一歩を踏み出し続けなければなりません。個人としては、覚悟を持って行動し経験と成長を重ねる一歩。組織としては、メンバー一人ひとりの行動が組織力を高め、運動を地域へ拡げる一歩です。この一歩の積み重ねが、持続可能で活気のある地域社会を生み出し、子どもたちが希望をもてる未来へと繋がっていきます。その歩みの先には、地域に信頼される青年会議所の姿があります。今こそ、青年会議所が地域と共に、「明るい未来に向けて」新たな第一歩を踏み出す時。 この想いを胸に、我々は実践を重ね、その先にある「かけがえのない繋がりを次の世代へ受け渡す」という使命へと結実させていきます。
【地域における観光と労働環境の社会課題】
地域社会の課題は、環境や人口、産業構造など様々な要因により変化します。地域が一丸となり社会課題に向き合うことが出来れば、不可能を可能にする第一歩を踏み出すことができます。私は様々な地域に赴く中で、観光におけるインバウンド対応が進み、受け入れ体制の整備や多言語対応などを実践している地域では、地域経済の活性化や雇用の創出といった成果が見られる一方、課題意識はありながらも行動に移せていない地域では、観光客の減少や企業での担い手不足などの停滞が見られます。また、労働環境における外国人労働者の受け入れや定着支援においても、地域ごとの対応に明確な差が生じています。対策ができている地域では、多様な人財が地域に根付き、相互理解や地域貢献の好循環が生まれていますが、対策が遅れている地域では人材の流出や雇用の安定に結びつかないなどの課題があります。観光や労働環境の課題は、行政や企業だけでなく地域全体で向き合う必要があるからこそ、我々青年会議所が率先して取り組む意義があります。我々は、立場や組織の垣根を越え、地域を繋ぐことが出来る存在であり、時代を担う世代として未来に責任を持っています。気仙沼観光推進機構のアンケート結果によれば、観光目的として「食」と「自然景観」を挙げる割合が高く、観光客が地域の魅力として感じる資源が多くあります。我々の住む地域は、水産業と観光業が基幹産業であり、事業者やそれに従事する市民は多くいます。当圏域には、三陸沿岸の豊富な水産資源やリアス式海岸が織りなす美しい湾景など全国に誇れる自然環境が揃っています。我々は、地域資源の魅力を圏域外へ発信する仕組みを整え、情報の循環を促すことで、持続可能な観光の基盤を築き、基幹産業の発展を促す必要があります。観光において東北全体のインバウンド需要が1.4%程度と依然として低い水準にあります。将来を見据えると地域資源を活かしたインバウンド需要の拡大は不可欠です。現在、対応できる事業者は限られていますが、受け入れ体制を強化し行政と企業が連携して課題の共有と改善を行うことと、他地域に劣らない魅力を圏域内外に継続的に発信していくことが重要になります。一方で、当圏域は水産業を中心に外国人労働者の増加が進む中、地域との交流不足や生活環境の課題が顕著化しています。我々は、多様性をさらに尊重できる環境を目指すとともに安心して働き暮らせるまちづくりを進めることが求められており、青年会議所が架け橋として先導していく必要があります。観光やインバウンド対応と同様に、外国人労働者が地域のコミュニティに加わりやすい環境を整備し、交流を促進していくことも地域の持続可能な発展の一助となると考えます。我々は、課題を他人事とせず、自らが行動し、地域に変化を生み出す原動力となる必要があります。我々が住まう地域の社会課題を的確に捉え、解決することが組織として求められる大きな使命です。メンバー一人ひとりが課題を先んじて捉え、考え、行動する地域のリーダーとして、観光業や外国人労働者の受け入れなど、地域の基幹産業に関わる将来の課題を、先陣を切って第一歩を踏み出すことができる組織となり、活気あふれるまちの実現を共に目指していきましょう。
【想いを共感できる会員拡大】
私は青年会議所に入会する前、「何をすべきかわからない」「自分の将来に対しての課題をどう解決すればいいか」と仕事をする上での悩みを抱えていました。2018年入会し、例会や役職経験を通じて仲間と共に行動することで自分が青年会議所という組織の一員であることを実感し、少しずつ抱えていた悩みは解消されました。様々な経験が私の意識を前向きに変え、挑戦する勇気と成長への自信を与えてくれました。挑戦の第一歩は、必ず自らの選択と決断が必要です。青年会議所は、一人では得られない経験と学びを仲間と共に積み重ねる場所です。JC活動を通して、挑戦の中で得た学びを自社や家庭に還元し結果として地域の課題を持続的に解決へ導く好循環が生まれます。我々は、地域の課題を解決するための組織であり、その中心には必ず「人」が存在し、40歳までという年齢制限がある組織である以上、運動を継続し質を高めるには会員拡大という組織の第一歩が必要不可欠です。会員減少の問題は、他地域と同様に喫緊の課題であり、単なる数の問題に留まらずJC運動の質や組織の存在意義にまで影響を及ぼします。会員拡大運動は、青年会議所の目的と活動内容を正しく理解し、理念の共感を持って伝えていくことが必要となります。また、会員拡大の原点を「組織としての魅力」だけではなく、「メンバー一人ひとりの魅力」も重要になると考えます。それには、日常でのふるまいや周囲との接し方、そして相手に寄り添いながら共感を持って伝えられる話し方を磨いていくことが必要になります。メンバー一人ひとりの魅力と発信力が高まれば、地域からの見られ方も変わり、我々自身が「一緒に活動したい」と思われる存在になるはずです。人は一人では生きてはいけません。未知への挑戦には不安が伴いますが、一歩を踏み出す勇気こそが明るい未来を切り拓くきっかけになります。一歩を踏み出すことができる人財が組織に一人でも多くいることで相乗効果が生まれ、個人の成長が磨かれ、JC運動を展開する大きな推進力となり組織のみならず地域に大きな好影響をもたらすことができます。会員拡大運動は、担当委員会だけの取り組みではなく、組織全体で踏み出す第一歩でなければなりません。そのためには、お互いの理念を分かち合い、共に学び合うことが大切です。青年会議所での経験が、自身の成長や社業、家庭への転換に繋がり地域へ貢献できます。好循環を生み出す意識を高め、地域に必要とされる組織として若者が自然と集う魅力ある組織を築いていきましょう。
【子どもたちの未来を切り開く指導力開発】
現代の社会は、物質的な豊かさが進む一方で、人々の心の豊かさや幸福感は、見落とされがちになっています。他者に対しての感謝や喜びの気持ちは、子どもたちの将来にも大きな影響を及ぼします。我々は、「明るい豊かな社会の実現」に向け、次世代の子どもたちが希望を持って成長できる社会環境を築く責務があります。子どもたちが大人になった時に、心の豊かさを感じ、さらにその想いを次世代へと繋げていけるような循環を生み出す運動が、今求められています。私の幼少の頃は、近くの海で遊ぶことが多く、学校から帰宅すると暗くなるまで遊んでいました。服は汚し、靴を濡らし、ときに小さな怪我もしましたが、遊びの中で、怪我をしないように危険を察知する力や楽しく遊ぶための工夫など、多くの学びは今でも大切な経験となっています。また、近所の大人たちから様々な遊び方を教わり、時には叱ってくれたことも今思えばよい環境で育ったのだと思います。子どもたちの教育の中心には学校がありますが、教育だけに頼るのではなく、地域の大人が「学びの機会」を社会側から提供し続ける必要があります。実体験、探究、地域参画などのプログラムを構築し、学校内外を繋ぐ学びの循環をつくることこそ、青年会議所の役割です。子どもを変えようとする前に、まず大人が変わらなければなりません。大人自身の学びをアップデートし価値観と行動を見直して、行動で示す。この姿勢が子どもたちの「変わる力」を引き出せるのではないでしょうか。デジタル化や価値観の多様化が進む中で、大人が柔軟に学び直し続けることが求められます。また、2025年7月30日に発生したカムチャッカ半島付近での地震により、本県沿岸に津波警報が発表された際に、東日本大震災の記憶がよみがえりました。現在、大人たちは適切な行動ができるのか。行政は地域住民と連携できるのか。子どもたちは自ら危険を察知し避難できるのかと、疑問に思うことがあります。東日本大震災から15年目になり地震に限らず、多様な災害が続く今、震災の教訓を過去の出来事として風化させず、常に意識を更新し続けることこそ、次の世代を守る私たち大人の使命です。我々は、子どもたちの未来を「自分たちの未来」と捉え、地域と共に歩む覚悟を持つことが必要であり、地域社会のパートナーと連携し、子どもたちが安心して夢を描ける環境を整え、希望にあふれる未来へと導くリーダーであり続けましょう。
【未来へ繋がるおまつりを、地域と共に】
近年、地域のおまつりや伝統行事の担い手不足が深刻化しており、少子高齢化や価値観の多様化、そして東日本大震災やコロナ禍による社会の変化により、地域を支える人と人との繋がりが希薄になりつつあります。みなとまつりも例外ではなく、震災以降は規模の縮小や開催方法など変わり続けています。しかし、このような時代だからこそ、地域が一つに集い、地域をより良くしていきたいという想いを共感できる場の価値がより一層高まっていると思っており、その象徴がみなとまつりだと考えます。私が青年会議所の活動に対する理解と価値観を大きく変えるきっかけになったのがみなとまつりでした。入会当初は、JC活動に積極的に参加できずにいましたが、先輩からの一言をきっかけに活動へ関わる機会をいただきました。初めて関わった2019年のみなとまつりでは、同期入会のメンバーが活躍する姿を目の当たりにして、当時参加する機会を掴まなかった自分に強い「後悔」を感じました。その後、後悔という気持ちを払拭するために全力でおまつりに関わったことで、仲間との絆や地域への想いがより一層強くなりました。この経験こそが、私が思うみなとまつりの本質であり、自身の意識を大きく変える原点となりました。私が初めて参加したのは2019年の海上うんづらでの太鼓演奏で、その後、コロナ禍を経て2022年に再開されたみなとまつりが、海上うんづらの最後の開催となりました。子どもの頃に見たみなとまつりの景色である、太鼓の響き、出店の賑わい、海で光り輝くうんづら。ワクワクした気持ちで過ごした時間は、今でも心に強く焼き付いています。東日本大震災やコロナ禍を経て、みなとまつりの開催方法や在り方なども様々に変化している中、我々が現状の課題や問題をしっかりと検証し、組織として解決に向けて行動することが今後のさらなる発展に不可欠です。おまつりという地域最大の行事で、我々に何が求められているのかを明確にし、メンバー一人ひとりに役割と責任を浸透させていかなければなりません。今の子どもたちや市内外の人へみなとまつりの想いを紡ぐために、行政や諸団体と連携し、「伝統」と「革新」を融合させた具体的なアクションプランを描く必要があります。また、かつてのみなとまつりを知らない子どもたちに、過去にあって今は失われた行事などを振り返り、今も続く伝統を伝えることで、みなとまつりは新たな歴史を紡いでいきます。諸先輩方が築いてこられたおまつりを継承しつつ、持続可能な地域最大の行事として、地域資源の魅力を最大限に発信できる場へと発展させ、地域を牽引するリーダーとして仲間と共に行動していきましょう。
【主管ブロック大会及び60周年事業への展望】
地域の魅力を最大限に発信する場として、2027年には第57回宮城ブロック大会が気仙沼の地で開催される予定です。そして、翌年の2028年には、当青年会議所が創立60周年という大きな節目を迎えます。前回、2016年に気仙沼で開催された第46回宮城ブロック大会では、「ちょいのぞきツアー」や「復活!みなと朝市&朝飯」など、地域資源を活かした多彩な企画を通じて、気仙沼の魅力を県内各地に発信しました。大会成功の裏には、多くのメンバーや地域関係者の協力がありましたが、当時の運営に関わったメンバーは卒業されています。だからこそ今、過去から学び、我々自身の手で未来を創る覚悟が問われています。2026年度は、2027年の宮城ブロック大会、そして翌年の創立60周年事業に向けた準備が本格的に始動する年となります。成功に導くためには、単に企画を立てるだけではなく、組織として意識統一と体制構築が不可欠です。他LOMとの協働や行政、市民との連動を強化し、地域全体で大会を創り上げる姿勢こそ、我々青年会議所の存在意義を示すものだと思います。宮城ブロック大会は、青年会議所だけで完結する事業ではありません。活動圏域の企業や市民、行政を巻き込みながら開催することで、JC運動の発信を高めるとともに、地域資源と観光資源のブランディングの場となります。そのために、実行委員会設置に先立ち、LOMとブロック協議会への引き継ぎが円滑に進むよう徹底した事前調査と準備を行い、全メンバーの当事者意識を醸成します。 2026年を「未来への第一歩」と位置づけ、組織力の向上と活動圏域の発展に寄与する一年とします。我々にしかできない挑戦を恐れず遂行し、地域の期待に応えるべく、宮城ブロック大会と60周年事業の両輪で、気仙沼から力強く運動を発信していきます。そして、当青年会議所だからこそ出来ると胸を張り、メンバー一人ひとりが誇りを持って実現していきましょう。
現在、当青年会議所では、ホームページ、Facebook、Instagram、LINEなど、様々な広報ツールを活用し、地域内外へと積極的に情報発信を行っております。近年、「伝える」ではなく「伝わる」広報を意識して戦略的に仕組みを構築してきました。今後は、各例会事業の開催案内や報告といった集客面での広報にとどまらず、実施に至るまでのプロセスやメンバー一人ひとりの魅力を発信することで、当青年会議所をより身近に感じていただき、地域に寄り添う団体であることを示していく必要があります。今年度も広報戦略を組織ブランディングの柱と位置づけ、各委員会の活動や運動を効果的に発信し、より多くの人に青年会議所の存在を理解してもらえる組織を目指してまいりましょう。青年会議所は、議案書を用いて会議が開催され合意形成を図り、例会や事業を通じて「明るい豊かな社会の実現」を目指す団体で、その根幹にあるのは組織の力であり、持続可能な活動を行える仕組みづくりです。当青年会議所では、2021年から「育LOM宣言」に取り組んでおり、より生産的で柔軟な組織運営を推進しています。ウェブ会議やハイブリッド会議の活用、スプレッドシート導入による情報共有の効率化、会議時間の見直しなどスマート会議を継続実施し、生産性の向上を図ります。また、子育て世代のメンバーが安心して活動に参加できる環境づくりが必要であり、子ども同伴での参加やオンラインでの会議出席を許容し、年間のLOMスケジュールを事前に公開することで、メンバーはもちろん家庭や社業への負担軽減を目指します。我々の活動は、家族や会社の理解や後押しが必要不可欠です。メンバーが、家族や会社の理解を得ながら活動できることは、我々が掲げる「明るい豊かな社会の実現」に向けた最初の一歩で、組織の責任でもあります。 今後、組織が今よりさらにより良い体制にブラッシュアップしていくためには、組織体制を改めて見直して、課題を抽出し継続的に改善していくことが必要です。メンバー一人ひとりが自らの成長と地域社会への貢献を両立できる環境を整えることで、誰もが活き活きと活動できる組織となり、地域を巻き込みながら新たな青年会議所の価値を共に創り上げていきましょう。
【むすびに】
2018年の入会から気づけば9年目を迎えました。入会当初は、目標もなく家庭と会社を往復するだけの何も変化がない日々に、未来への不安ばかりが募っていました。そんな私に変化を与えてくれたのは、先輩方や同世代の仲間たちの存在でした。JC活動へ積極的に参加し、様々な経験をすることで成長していく姿。そして、熱量を持って組織を導く先輩方の背中を見ているうちに、「自分にも何かできることがあるのではないか」と思い始め、挑戦することの大切さに気づくことができました。2020年に事務局長を務めて以来、様々な役職を経験させていただきました。挑戦とは、覚悟を決めて一歩を踏み出すことで、その一歩によって得られる経験は積み重なり、自分を確実に成長させてくれます。成長できる過程で私に対して貴重な時間を割き、支え、導いてくれた先輩方や仲間たちの存在は大きな財産です。自分一人では成し得ない数々の学びと経験を与えていただいたことに心から感謝しています。かけがえのない繋がりは、先輩方からいただいた宝物であり、今度は私たち現役世代が次の未来へと受け渡していくべきものです。バトンを繋いでいくことこそ、青年会議所の使命であり仲間と共に築く未来への責任です。「明るい豊かな社会の実現」を目指す我々は、挑戦することを恐れず常に我々が住まう地域が輝かしい未来のために第一歩を踏み出し、志を同じくする仲間とともに持続可能な社会の実現に向けて未来へと歩みを進めていきましょう。
「The First Step ― 最初の一歩が、未来をつくる」
