2025年度 スローガン
「 万里一空~力強く突き進もう未来の先駆者となれ~ 」
2025年度 基本方針
- 青年が創り出す未来への仲間づくり
- 大きな夢描き未来を拓くひとづくり
- 高齢者も若者も活き活きと暮らせるまちづくり
- 感謝や感動が創り出す未来のまちの活力となるおまつり
- 組織全体で考える総務広報とライフバランスのとれた組織づくり
2025年度 理事長所信
2025年度 第57代理事長 内海 秀祐
【はじめに】
いま、あなたは目標を見失わず、未来に向かって突き進んでいますか?
若かりし頃、抱いていた夢や目標はどこにいってしまったのか。
ただなんとなく、日常の事に精一杯になっているのではないか。
青年として、多くの成長の機会を掴み取りにいっているだろうか。
先行きの見えない時代でも、輝く未来に立ち向かって全力で駆け抜けているだろうか。
1969年7月6日、当圏域で気仙沼青年会議所が発足し、創立から57年目を迎える青年会議所において諸先輩方は、どのような時代の変化にも対応しながら社会課題を解決すべく、様々な運動を展開してきました。これまでに幾度の困難や壁を乗り越え、当圏域を先導するリーダーとして、「明るい豊かな社会の実現」に向けた大きな目標を掲げ、時代を先駆ける発想から多くの人を巻き込み、青年として英知と勇気と情熱をもって果敢な行動をされてきました。我々の運動は、社会の課題を解決し持続可能な地域を創っていくものです。しかしながら、一概に社会の課題を解決するといっても簡単なことではありません。これから訪れる地域社会の課題を見つめれば、デジタル社会の発展により人と対面し触れ合う機会が減少し、地域の人との繋がりが希薄化することで、将来の子供たちに必要なコミュニケーション能力や多様な他者と協働する能力低下が懸念され、社会性や人間性を育むことがより一層求められています。また、県内14市の中でも本市の少子高齢化率は高く、このまちに住み暮らす一人ひとりが主体的に地域福祉を助け支え合い、住み慣れた地域でこれまでの社会的関係を維持しながら、生きがいや社会的役割をもつことで、より豊かな生活ができる地域社会が求められています。そして、子育て世代の減少は将来の労働人口の低下や担い手の減少といった社会経済に多大なる影響を及ぼすことが予想されています。先行きが不透明で、将来の予測が困難な時代だからこそ、我々は多様な視点から課題を見出し、自ら率先してJAYCEEとして本質を見極め、向き合うべき社会課題を万里一空の思いで取り組み、「明るい豊かな社会の実現のために」目標や目指しているものを見失わずに努力し続け、この時代に先駆けた運動を展開し、歩みを止めることなく力強く突き進んでいきましょう!!
【青年会議所という存在】
全国各地671の青年会議所に、約30,000人の会員が所属しており、次世代を担う責任世代として様々な社会課題に積極的に取り組んでいます。会員は、20歳から40歳までの創業者や事業継承者が多く、地域との絆が強いことが特徴です。そして、青年会議所の横のつながりは強固なものがあり、地域を超えた連帯感のもと運動を展開することができます。そもそも、青年会議所は何を目的として活動しているのか。それは、ひとづくりとまちづくりの団体として活動しています。私は入会して間もない頃に、何のために活動したほうがいいのか、私に何ができるだろうか。さらには仕事しながら、JCに時間を割くなんてもったいないのではないか。心の何処かで面倒な団体かもしれないと思っていたこともありました。しかし、そんな気持ちが変わる日が突然訪れました。2022年新型コロナウイルス感染症が蔓延し、全ての事業計画を見直さなければいけない時代に、当時の理事長と委員長が今の気仙沼のためにできる最大限の事業は何をするべきなのか、と先輩方が真剣に話し合っている場に私は居合わせました。「例年のおまつりは、できないかもしれない。」「子供たちが喜ぶ笑顔になる事業を構築したい」「今困っている、飲食店を支援したい」など様々な意見を交わした会話を覚えています。その後に、ドライブスルーテイクアウト事業や第一回オンライン気仙沼みなとまつりなど、様々な運動が展開されました。いま必要としている地域課題の抽出から、自ら考え行動に移していく姿を目の当たりにし心が揺さぶられ、私もこの地域のために大人としてもっと真剣に向き合い活動しようという思いが芽生えました。そして、様々なJC活動を通じて、社業では関わったことない地域の人たちとの交流が増え、時には地域の人たちから「ありがとう」と感謝をされる体験から、誰かのために一生懸命になってJC活動することが、こんなに素晴らしいことだと気付かされました。JC活動は様々な人脈を形成し、多くの価値観に触れることで自身の能力や見識を向上させ、家庭や職場に持ち帰ることができ、人生の幹を太く育てることができます。気仙沼青年会議所は、人としてその器を大きく成長させてくれます。青年として、この地域のために自分自身を高めるには最高の場です。今後の地域を背負っていく世代として、自ら成長の機会を掴み取り、自己研鑽を通じて地域の発展を促す運動を展開してまいりましょう。
【青年が創り出す未来への仲間づくり】
我々は当圏域の「明るい豊かな社会の実現」に向け、情熱を注ぎ日々JC活動を通じて邁進しています。まちのことを想う同志が、未来のまちのために持続可能なJC運動を展開していくには、多くの新しい仲間を迎え入れることが必要です。
あなたは青年会議所でどのようなことを教わったでしょうか。私は入会当時に比べれば、少し自己成長できたと感じています。それは、なぜか。「人生一回くらい、馬鹿になるまで突っ走ったっていい!」「青年らしく、時には泥臭く生きてもいい!」心から、自身を突き動かして向上心をもって何事も取り組まなければ、その理想には絶対に辿り着かないと気づけたからです。我々は先輩方に優しく時には厳しく導かれ、JC運動の本質を追求し、この圏域のリーダーとしてJC運動を展開してまいりました。多くの先輩方に導かれながら迎えた今日、私らしく未来を担う後輩たちのために全力を注ぎ、共に力強く青年会議所を盛り上げ、行動していきたいと考えています。気仙沼青年会議所の歴史を紡ぐのは、我々現役メンバーの使命です。だからこそ、メンバー一人ひとりが拡大の意義を理解し、「絶対に会員拡大をやってやる」という断固たる決意を持って行動を起こせば、必ずや新しい仲間を迎えることができます。私は、ここにいるメンバー全員の入会志望動機を読み、ここに集う仲間が何故JCに入会したのかを知っています。メンバーがJC活動を通してそれぞれのステージで感じてきた体験談や入会に至るきっかけを、素直な言葉で候補者へ伝えることから、会員拡大運動は始まるのではないでしょうか。メンバー一人ひとりが候補者の意識と行動に変革を起こすことが、会員拡大運動でありJC運動の根幹であると考えます。行動力や発信力を身に付け、この圏域を牽引するリーダーとして熱意や情熱を持って活動し、新しい青年と出会い、友情の輪を広げ、必ずや50名以上のLOMへと押し上げていきましょう!そして、多くの仲間を迎え入れた組織は力強い潮流となり、我々の多様な運動の効果を最大限に高め、この地域をより良くしていきましょう。また、本年は会員の減少や在籍年数の短期化が進む中で、今まで継続してきた事業を継続していくことが難しくなっていることも課題の一つです。入会した当人にとって、せっかく入会しても経験を積める時間が少なく満足のいく学びを得られない可能性があり、可能な限り若い時期に入会していただくことが肝要です。将来的にはメンバーの育成期間が短くなり、JCの特色である単年度制も機能せず、同じ役職を繰り返し組織運営せざるを得ないことが予想されます。もう、そのリミットは近いです。一度決めたら、迷いは一切ありません。全ては、行動こそが結果を生むものです。何があろうとも、メンバー一人ひとりが必ずやり遂げる覚悟をもって、組織一丸となり行動で示していきましょう!!途中で諦める選択肢は存在しません。多くの若いメンバーが将来活き活きと活動しているLOMを創るという理想を掲げ、我々が次代を担う組織の礎を築き、持続可能な組織を創り上げましょう。
【大きな夢描き未来を拓くひとづくり】
未来は、白い一枚の紙から始まります。
最初は、誰もその白い紙に将来の夢や未来を描いているわけではありません。
人生を過ごす中で、多くの経験を経て、その未来を自らその紙にデザインしていくものです。
いま将来に向かって子供たちが目を輝かせながら、夢や目標をもつ人生の旅を始める時に、目の前にいるあなたが子供たちの夢や目標を叶えられる大人にならなければ、我々が目指す「明るい豊かな社会」は訪れないと強く感じることがあります。しかし、未来を担う子供たちの社会は、少子化、核家族化、デジタル化、グローバル化などといった社会課題から大きな影響を受け、さらには新型コロナウイルス感染症の蔓延により急激に変化しました。人々の価値観や生活様式が多様化している一方で、人間関係の希薄化や地域社会のコミュニティの衰退が、子育てをする家庭を取り巻く環境へ大きな影響を与えています。子供たちを輝かしい未来へと、導く立場の大人も未知の社会課題に直面することもあるはずです。私が子供の頃、学校へ行くときは「いってきます」といえば、近所の人が「気を付けていってらっしゃい」と声をかけてくれ、悪いことをすれば叱ってくれました。時代が変われば、社会の変容は当たり前なことですが、最新のテクノロジーが進化し続けても、我々は常に他者と関わりをもちながら生活をしていることは変わりません。子供たちの未来において、集団生活や人間関係の構築に欠かせない社会性を、大人が子供たちの成長過程で養う環境を創り、責任を持ち行動を起こすことが必要です。そして、子供たちがどのような環境においても生き抜いていくために、他者を思いやれる心、変化を恐れず柔軟に対応できる力、自分で考えて行動を起こす力が求められます。「世の中には人の数だけ価値観がある」と言われるように、本年は地域の様々な人と触れ合う機会から、協調性や柔軟性、自己肯定感を高め、未来を担う子供たちの成長にかかせない体験を子供たちに提供します。体験を通じて相手の気持ちを尊重し合いながら、自分の意見を堂々と相手に伝えられ、相互理解を求める姿勢を持つ子供へと成長させ、どんな社会になろうとも生き抜くチカラを養います。これまで体験したことのない景色を見た子供たちは、大人が思っている以上に成長し、将来に対して希望を抱きます。我々が未来への羅針盤となり、子供たちの無限の可能性を大きく伸ばし、白い一枚の紙から大きな夢を描ける子供たちへと地域と共に育んでいきましょう!
子供たちの輝かしい未来に向かって、どのような環境に於いても力強く生きていけるように、責任世代である大人が、常に子供たちに必要なことは何なのかを考え、率先して行動してまいりましょう!
【高齢者も若者も活き活きと暮らせるまちづくり】
私だけではなく青年会議所のメンバーの親世代も、年齢が高くなってきています。昨日まで元気だった親が、ふと気がついたら介護が必要な体になる。そのような話を、よく耳にするようになりました。私の家族の中には、91歳になる祖母がいます。祖母は自分のことは自分でやるといつも意気込んでおり、家族が側にいなくても「大丈夫だから、早く仕事さ行ってきなさい」と言ってくれます。時々心配な時もありますが、近所のおばぁちゃんたちとお茶飲みながら、談笑している姿を見て心が和みます。祖母が健康な体でいることで、私も仕事に集中できる環境にあることは、とても有り難いものだと日々感謝しています。今もなお、若者の人口流出や新生児の出生率の低下等、様々な社会課題から少子高齢化が加速している当圏域において、あなたの身近な家族も体や心の機能の低下によって、これから「要介護」に陥る危険性が高まってきてはいないでしょうか。2025年は、「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に突入し、超高齢化社会が急加速することで発生する様々な問題を指し、現在要介護者の急速な増加が懸念されています。我々の親世代が年齢を重ねても、住み慣れた地域で誰もが安心して元気に暮らしていけるよう、住民一人ひとりが互いの自分らしさと、共に生きるという意識を持ち、支え合える「共助」が必要だと考えます。仕事と生活を両立させながら「親の介護予防」に努め、行政だけではなく地域コミュニティや企業等、ここに住み暮らす人々が主体的になり、どのように福祉をより良くするか追及していかなくてはいけません。住民が主体的に福祉に参加することで、住み慣れた地域でこれまでの社会的関係を維持しながら、生きがいや社会的役割をもつことができ、より豊かな生活につながることが期待されます。また、核家族化が進んでいる現代において、10代や20代の若者は、「高齢者が近くにいない」環境で育つことも決して珍しくありません。そうなると、必然的に「介護」と触れる機会が少なく、「親の介護」についての認識も変化しつつあります。しかし、ひとりでも多くの若者や住民が福祉に関心を持ち支え合う社会になれば、高齢者にとってネガティブな老化現象ではなく、ポジティブな働きかけに変化します。つまり、若者や住民と接点をもつことが高齢者にとって生きがいに変化し、安心して健康で長く生きる兆しになるということです。我々は心身ともに健やかな人々の笑顔が溢れる当圏域の実現に向け、福祉を通じて地域がより豊かになる運動を展開してまいりましょう!
【感謝や感動が創り出す未来のまちの活力となるおまつり】
2019年に入会し3年間、特別事業委員会に所属していました。当時の私は、我武者羅になって活動してきました。2021年度、特別事業委員会の委員長の職を預かっていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行から、気仙沼みなとまつりの開催が中止となり幾度も心が折れ、先輩方のサポートによってまた立ち上がり、内湾JC縁日を開催したことを覚えています。各地でおまつりが開催されない中でも、我々ができる最大限の運動を展開することで、あの時言葉では表現できないくらいの勇気や希望を市民の皆様へ届けられたのではないかと感じています。来場した親子からいただいた言葉の中には、「ありがとう」と感謝を伝えてくれる方も多くおりました。そのような経験から、おまつりにはまちへの活気を与えられるだけでなく、感謝や感動を届けられる場でもあることを実感しました。だからこそ我々はどんな時でも、挑戦することを忘れることなく地域を思い行動し、おまつりを創っていかなくてはいけません。人口減少や若者の人口流出など大きな社会課題によって、地域の担い手である若者が減ってきているという現実を受け止め、どうすれば持続可能なおまつりを構築できるのか、模索し創ってまいりましょう。本年も主催者団体の一角として、当青年会議所は気仙沼みなとまつりの行事全般の企画・運営に全力で携わっていきます。勇壮な太鼓の音と美しい笛の音が夏の夜空に響き渡る気仙沼みなとまつりは、東北各地のおまつりの中でも「海潮音」をはじめとする伝承曲と花火が共演する珍しいおまつりであり、素晴らしいコンテンツです。その魅力を地域外にも発信していき、気仙沼みなとまつりの価値を更に高めていきましょう。近年は時代の変化とともに海上うんづらは、陸上うんづらへと移り変わりましたが、もっとも市民の皆様と近い距離で感動を届けられたと感じています。時代が変われば、時代に添った考えをカタチにするのが青年会議所の使命だとすれば、「こんなおまつりを創りたい」という情熱を持って取り組めば、必ずや市民一人ひとりの心に残るおまつりが構築できると私は信じています。まちのために青年が全力で、市民の皆様に笑顔と感動を届けることを忘れず、一人ひとりの心に残るおまつりを考えていきましょう。また、青年会議所なしでは気仙沼みなとまつりを語れない、そんな憧れを抱かせる魅力的な組織になり、新たな挑戦を経てまちの賑わいをもたらすおまつりを構築し、故郷の空に美しく広がる大輪の花火のように、気仙沼の未来を明るく彩ってまいりましょう!
【組織全体で考える総務広報とライフバランスのとれた組織づくり】
青年会議所は今の時代に必要なネットワークと最先端の情報を沢山もっています。情報の信頼性があるのは、青年会議所が中小企業経営団体として政府から認知されているからです。私はJCに入会してから沢山の情報を得ることができ、何より感銘を感じたことは地元にこんなにも地域のことを真剣に考える人が沢山いるということでした。昨年の広報戦略委員会ではハッシュタグの中に、「#JCに相談だ」という言葉がよく使われていました。何か困り事があれば、地域の社会課題を解決すべく活躍している我々を頼ってきてほしいというメッセージが込められていたと思います。昨年の広報戦略の仕組みをアップデートし、各委員会が責任をもって各担当例会や構築している事業の広報活動を行います。情報を受け取る側の目線に立って、タイムリーにSNS媒体を使って広く情報発信し、組織のブランディングを図っていくことを目指します。
また、当LOMでは2021年度に宣言をした「育LOM」についても継続して取り組んでいくことが必要であると感じます。取り組み内容としては、1.スマート会議、2.子連れJAYCEEへの斟酌、3.JCに対する家族の理解を促進する、4.年間の予定表を作成・共有、とあります。本年は我々の会議である三役会・理事会の短縮化を目指し、会議開始時間の見直し、スマート会議を強化実施します。事前意見や質問ができるスプレッドシートをより良い形で活用することで、協議の過程で事業計画書の内容がスマートにブラッシュアップされていく仕組みを導入します。我々は家族からの理解があるからこそ、力強く活動ができます。今まで以上に育LOMの考えを取り入れた組織基盤を築き、組織として多様性への配慮を心がけながら、誰もが溌剌とした笑顔で活躍できる組織を実現させましょう!
【むすびに】
江戸時代初期の剣術家である宮本武蔵が長年の修行で得た精神的境地を綴ったもので、「山水三千世界を万里一空に入れ、満天地ともまとめる(世界はひとつの空のもとにあり、どこまで行っても同じ世界である)」と書き、「心迷わず精神を修養し、身体の鍛錬を極めれば目標に到達できる」ことを表しました。それが転じて、「目標や目的に向かって、やるべきことを見失わず努力し続けること」という意味で「万里一空」が使われるようになったのです。武蔵は書物「五輪書」に、二刀を用いる剣豪だったと歴史に名を刻んでいます。我々も同じく、社業とJCの二つを操るものだとすれば、もちろん社業とJCを両立させながら自己研鑽に励み、地域社会をより良くするリーダーとして成長し、志を同じくする多くの仲間と共に「明るい豊かな社会の実現」を目指さなくてはなりません。若き青年が新たな夢や目標を見つけ、この先の次代を楽しそうに活動している姿はまるで、太平洋の海原を自由に羽ばたく鳥のようだなと空を見上げながら思い浮かべています。さぁ、いまこそ大海原に向かって飛び立つ時だ!
青年らしく、自分らしく、飛び立とう明るい未来へ!