一般社団法人気仙沼青年会議所

2020年度理事長 岡本貴之

2020年スローガン

「 覚悟 ~あくなき挑戦、そして地域に求められるリーダーとなるために~」

はじめに

「全人類の光明は、われわれ青年会議所の純粋な正義感と、目的完遂の確固たる実行力にうらづけられて初めてその輝きを見出し得る。」

この一文から日本青年会議所設立趣意書は始まります。敗戦後の苦難の中から日本を再建しようという覚悟の想いから青年達が立ち上がり、今の日本があるのです。当時の青年達が互いに連携し、経済社会の現状を研究し、進むべき方向を明確にしながら行動を起こしてきました。今の時代を生きる我々は、先輩諸兄が創り上げてくれた素晴らしい故郷を、これからの時代を生きる若者達へより良い形でつないでいくために、我々の運動は継続させなければなりません。

日本は現在、様々な社会問題に直面しています。それは、我々が先人達の誰もが経験したことの無いほど厳しい状況に足を踏み込んでいると言えます。少子高齢化、地方衰退、地域間格差、人材不足などが叫ばれ、我々が住まう圏域にも多くの問題が顕在化してきています。現在、政府でも都市部一極集中・地方衰退に対応するべく地方創生を掲げ、地方の底力を活性化させようとしています。それは、地方に住み暮らす私たち自身が地域経済を牽引し、地域の魅力を磨くことによって自らのまちを創っていくということだと考えます。誰もが経験したことのない時代に踏み込んだ今、ありきたりな方法論ではなく、誰もが思いつかないようなオリジナリティ溢れる新たな仕組みを構築し、覚悟を持って私たちの手で新しい時代を切り拓いていく必要があります。

組織の根幹である会員拡大

青年会議所運動の賛同者を拡大し続けることは、組織の根幹であり、メンバー一丸となって取り組まなければならないもっとも重要な課題の一つです。過去には、100名以上のメンバーが在籍していた気仙沼青年会議所も、近年会員が減少傾向にあり、2020年度は32名での活動開始になります。私たちはこの圏域で生活し、社業を営む上で、地域を活性化していけるかどうかは死活問題です。責任世代である私たちは社業に従事し全力で取り組み、その一方で青年会議所運動にもエネルギーを費やすことが必要とされます。また、私たちのまちをより良くしていくためには、青年会議所運動に携わっていくメンバーを一人でも多く獲得することが重要です。私たちは、まちづくり、人財づくり、次世代づくりを通して、地域により価値のある運動を展開し、その過程で同じ志と使命感を持つ者同士がお互いに強く影響しあうことで切磋琢磨を続け、成長していく、そんな素晴らしい組織であることに誇りをもち、メンバー全員での拡大の機運を高めていく必要があります。さらに、あらゆるフィールドでリーダーとしての役割を担っていくためには、自らの成長は欠かせません。社業以外のフィールドでの出会いや、学びが、必ず自身にフィードバックされます。そして、自らの成長が地域と社業を発展させていくのです。青年会議所での修練と実践によって、この好循環がもたらされることは、拡大の対象者にとっても必ず魅力的に映ります。メンバー一人ひとりが全力で青年会議所運動に打ち込む姿を見せることで、34%以上の会員拡大を達成し組織力の強化に繋げます。

組織の基盤である総務と発信力の強化

青年会議所運動、そしてJCの魅力をより多くの方々にどのように伝え、どのように事業への参加を促していくのか。これは、ここ数年気仙沼JCが抱えてきた大きな課題でもあります。我々が掲げる理念を実現していくために、気仙沼青年会議所は対外発信力を強化し、社会的認知度を向上させることによって、地域における存在価値を高める必要があります。そして、この発信は先に述べた会員拡大とも深く関わってくるのです。我々は年間多くの事業や例会と、メンバー以外も対象にした講演会・セミナーを開催しているにも関わらず、広く市民の方々に認知していただいているとは言い難い状況にあります。この状況を改善するため、必要に応じて迅速に運動や活動を地域社会に発信し、地域に根差した組織運営を行うことで、認知度が高まり市民や会員候補者にも興味を持ってもらえる機会が増えると考えます。そのためにも、気仙沼青年会議所を地域により広く知ってもらうことが極めて重要であり、マスメディアとの連携、ホームページの充実、SNSや広報誌といったツールを用いる受け手を意識した積極的な情報発信を通じて周知することを徹底し、我々のブランディングを強力に推し進めていかなければなりません。年間を通して、青年会議所運動の発信が市民一人ひとりの事業、講演会等への参加を促し、結果として市民の意識を変えることへつながっていくという好循環を創り上げるのです。

また、組織の要である総務・事務局は、組織としての円滑で効率的な運営が求められます。組織運営とはメンバー一人ひとりの力を如何なく発揮させ、個々の素晴らしい力を最終的に組織全体としての力に変えていくことだと考えます。在籍年数が浅いメンバーが多数を占めている現状ではJC活動の根幹とも言うべきJCプロトコルが浸透しているとは言い難く、メンバーそれぞれの能力を最大限に発揮させることができるように、JC活動・運動の理解、JCの基本を再認識する必要がでてきています。青年会議所運動が最大限に効果を発揮していくためにも盤石の組織体制をつくりあげていきます。

自分たちのまちは自分たちで創る

我々JAYCEEは綱領の中で、「明るい豊かな社会を築き上げよう」と掲げています。つまり、この混迷の時代にあって我々自身がこの国をより良い国に変えていく責任があり、その基盤である地域の再興を成し遂げなくてはならないのです。国や地方自治体に頼るだけでなく、そこに住まう私たちが、普段の生活の中で変えていかなくてはいけないと感じるまちの課題を見つけ、それらを解決していくために市民と行政を互いに活かし合い、地域運営を行っていかなくてはいけません。我々が住まうこの圏域の本当の課題と解決方法を見出し、地域の方々の中に「自分たちのまちは自分たちで創る」という主体的な意識と、地域を想う心を持った人をこのまちに増やしていくことが、自立したまちを創りあげるのだと考えます。

また、私たちのまちには、文化・歴史・そして豊かな自然など、日本全国を見渡しても勝るとも劣らない魅力的な地域資源を有しているにもかかわらず、市民一人ひとりがまちに対しての誇りやアイデンティティが醸成されているとは言い難いと考えます。この地域に住み暮らす私たちは、自分達が想像する以上に外部の方々から、この地域が魅力的に映っていることを今一度見直す必要があり、老若男女全ての市民が生き生きと住み暮らし、世代を超えて地域特有の価値を高め持続させるには、今を生きる私たちが未来のビジョンを定め市民と共有していく必要があります。まずは、地元に住み暮らす我々が地域へ徹底的に入り込み、地域の魅力・誇りを発掘・発信します。そして、市民にまちの魅力を再認識してもらい、自分たちの住んでいるまちに対して誇りやアイデンティティを醸成します。さらに、来訪者には訪問をきっかけに、地域とのコミュニケーションを増加させ、地域のファン拡大につなげていきます。最終的には地域ブランドの確立に繋げる事で、住んでよし、訪れてよし、買ってよしのまちづくりに貢献します。また、これらを実施していく上で、魅力的なまちを維持し、持続可能なまちづくりを行っていくには、幅広い方々に興味をもってもらわなければなりません。まちづくり団体や一部の人々だけでなく子供からお年寄りまで、市民一人ひとりが参加し携わることができ、身近に感じてもらえるようになることが市民意識を変え、まちを魅力的なものにしていくのです。

地域を牽引する人財育成と青少年育成

少子高齢化、人口減少と深刻な問題を抱える現在において、ありきたりな考え方や方法論では問題解決することが難しくなってきています。それらを打破するには、既存のやり方や、固定観念から離れ、失敗を恐れず挑戦し続けることによって思考のイノベーションを起こしていかなくてはならないのです。また、我々は青年会議所で何を学び、何を自らの糧としていくのか。それは何のためなのかを今一度考える必要があります。我々は貴重な時間を費やし、自らを成長させるため青年会議所運動に従事しています。それは家庭、会社、そして地域社会においてリーダーシップを発揮して活躍できるようになるためです。リーダーシップは、単に言動や行動をリードするだけでなく、自ら課題や問題を抽出し、それを掘り下げて考え問題や課題の本質を見出す力があり、周りの人々を巻き込む影響力と行動力が備わっている人財であると同時に、フィードバック、フォローアップもできる人だと考えます。このようなリーダーが一人でも多く地域や会社にいることで、明るい豊かな社会の実現に近づくのではないかと考えます。そして、地域をもっと変えていきたいと大きな目標を掲げる我々は、一人ひとり持っている資質を高める努力を常に怠ってはなりません。地域のリーダーとして様々な運動を先導していかなければならない我々一人ひとりの意識変革を促し、持っている資質・能力を向上させ、隠された能力を開拓し、常に自己研鑽することで、初めて地域に対しての影響力のある運動を展開できると考えます。しかし、青年会議所は、機会は用意されていますが、与えてはくれません。自ら積極的に運動や活動に参加することで初めて手にすることができる機会です。この機会を積極果敢に手にし、真摯に問題に取り組む姿勢を養い、主体性を持った青年経済人として自己研鑽し続け、地域に求められる人財を育成していきます。

また、青少年教育も同時に重要な課題といっても過言ではありません。人口減少による地域コミュニティの衰退やITの加速度的普及によるコミュニケーションの変化は、現実の生活環境の中で自ら考え、挑戦すること、また人々とのつながりの中で何かを成し遂げていく機会を減少させ、故郷を想う気持ちを損なわせていると考えます。だからこそ、我々青年会議所が学校や家庭だけではできない教育を担っていく必要があります。自立と自律の心を育成する教育や事業によって、青少年世代が志を持った人財に育った時、初めてより良い地域を創ることができます。他者への敬意と感謝の心を青少年世代から養い、地域コミュニケーションの中から、多種多様な解決方法や愛郷心を見出していくという経験は画一的な教育からはなかなか学ぶことができません。青年会議所のプログラムを参考にし、さらに人的なつながりを活用することによって心を鍛え、他者との関係性の中から、青少年が自ら考え行動し判断することができる能力を引き出すような教育、事業を行うことで、次世代を担う人財を育成していきます。

第69回気仙沼みなとまつり

昨年も同様に老若男女問わず大勢の市民が集い盛況に終わった「気仙沼みなとまつり」ですが、先輩方が創られた創始の精神である「市民のためのまつり」とは、少し意味合いが変わってきているのではないかと感じます。先輩方は純粋に気仙沼のまち、そして市民のために、また気仙沼を離れた人達がいつでも故郷を思い帰郷の想いを馳せ、市民が気仙沼のことを考え、誰もが参加し、誰もが主役になれる、そんなまつりを描いていたのではないでしょうか。現在の「気仙沼みなとまつり」は、昨年と同様のまつりを開催する、すなわち大きな改革を行わないのであれば、比較的大きな問題もなく開催できるようになったと考えます。しかしながら、毎年同じようなおまつりであれば、年々参加する市民や観光客は減少していくのではないでしょうか。この先、持続的に発展するまつりにしていくのならば、新しい変化を取り入れ、誰もが興味を持つようなまつりにしていく必要があります。まずは、我々が誰もが魅力的に思うまつりにしたいと願うのであれば、自分たちがまつりの事を誰よりも知っていなければいけないと思います。そのために本年は、東北各地で開催されている様々なまつりを研究し、どうすれば市民が率先して参加するのか、どうすれば行ってみたいまつりになり、より多くの交流人口の拡大につながるのかをまとめ、それを実行に移す時だと考えます。そして、今こそ創始の精神に立ち返り、もっと多くの市民を巻き込み、市民が主体的に創り上げるまつりへとなるように、我々の意識変革と共に市民の参加意識も醸成していく必要があります。時期が来たから開催するだけの「まつり」から、自然発生的に「まつりに参加してみたい」と市民の意識を変えていく、そこには新しい風を吹き込み、新しい血を入れていくことが必要ではないでしょうか。それが、100年続くまつりへとつながっていくと確信します。

おわりに

自分が気仙沼青年会議所に入会していなかったらどうなっていたのだろう。

自分さえ良ければいい、会社の売上が上がればいい。この地域に住まう人達、そしてこのまちに生かされているということもわからず、自分のまわりだけのことのみしか考えられず、新しいことにも挑戦しない面白くない人生を過ごしていたかもしれません。

諸先輩方からよく言われた、返事は「はい」か「イエス」で、「ノー」とは言えない選択肢。誰でも最初は未経験者で、必ず初体験をします。生まれつきのベテランなどというものは存在しません。やったことがないから、経験したことがないからこそ、やる価値があるのです。人は経験した分だけ成長する、という言葉があります。やったことがある、できることしかやらないのでは新たな境地を開拓することはできません。無理難題を言われても「はい」と答えてから考え、できないという理由はどうでもよく、まずは行動することが重要であります。迷っている暇なんかもったいないだけで、やったことがないことだから挑戦する。すなわち、「できる」か「できない」かの判断ではなく、「やる」か「やらない」かの判断であり、「やる」という覚悟を決めれば全てが動き始めます。

“人は、挑戦へと旅立ち、困難を克服しながら、人々の共感と信頼を得て、結果としてリーダーになる”

特定非営利活動法人ISL創設者 野田智義氏

≪2020年度一般社団法人気仙沼青年会議所基本方針≫

1.メンバー一人ひとりが笑顔で楽しく活動する会員交流

2.メンバー一丸となって取り組む会員拡大

3.円滑な組織運営と広報活動

4.誇りとアイデンティティを感じられるまちづくり

5.メンバー一人ひとりの資質向上

6.誰もが魅力的に思うおまつりの実施